オランゴ島を訪ねて

オランゴ環礁はマクタン島の5キロメートル東にあり、船で20分ほどでいけます。

自然保護区としても名高く、あまり観光地化されていないため、ゆっくり時が流れていく美しいい島です。

目を見張ったのは、早朝の引き潮の海!まるで鏡のような海面に空がくっきりと映っていました。まるでリビアのウユニ塩湖のよう~(まだ行ったことはありませんが、、、)

 

せっかくきたのですから、学校訪問をしようと考え、オランゴ島の小学校を二校訪問してみました。六月までは学校はお休みのため生徒はいませんでしたが、先生達にお話しをお聞きすることができました。

ここフィリピンには給食制度がありません。また、お弁当を持参する習慣もありません。そのため、昼休みに子どもたちは自宅に戻ってご飯を食べたり、親が昼食を学校に届けます。大体はたくさんのご飯と、少しのおかずという内容とのことでした。

上の写真の小学校では、日本のNPOだれでもヒーローの皆さんが定期に訪れ、イベントを打って生徒の皆さんと交流されているとのことでした。

※ フィリピンの教育制度は、初等教育6年、中等教育(日本の中学校、高校に相当)4年、高等教育(大学)4年の6・4・4制です。義務教育は初等教育の6年間ですが、中等教育の公立校は無料で授業が受けられますhttps://www.mofa.go.jp/mofaj/kids/kuni/0310philippines.html(外務省ホームページより抜粋)

 

また別の学校ではダンスが盛んで、マクタン島最大のダンスイベント(ランパダ)で何度も優勝しているほどの熱の入れよう。

何度も連続優勝をしているチームを指導するサガリノ先生も、とっても親切にダンスイベントへの取り組みなどを説明してくれました。

衣装のデザインから制作まで、自分たちで何日も泊まり込みで作るそうです。

「Rampada(ランパダ)」というイベントは、年に1度4/27日 ※LAPU-LAPUで開催されるマクタン島最大のダンスイベントです!

Rampada 2019 Theme Song | Kadaugan sa Mactan

https://www.youtube.com/watch?v=_ffF9qjhObk

※1521年4月27日、マクタン島で、ラプラプ王がスペインの侵略者を撃退(指揮官マゼラン戦死)ラプラプ王はヨーロッパ人からの侵略を防いだ最初のフィリピン人として、今でも「フィリピンの英雄」で、この日を祝うお祭り。

 

 

ここオランゴ島の人はとても親切でした。

美しい島でゆっくりと時を過ごすせました。

2019成都国際食育及び健康科学サミットに招待講演

2019年11月2日に、中国四川省成都にて上記学会が開催され、当社代表の田中が招聘され“学校給食が食育に果たす役割”について講演しました。

中央の男性が大会の主催者『張会長』。その右横がCDC※の『胡先生』                  ※中国疾病予防管理センター( Centers for Disease Control and Prevention)

大会を主催した成都栄養学会は、中国政府の栄養に関する政策の推進役として発足した団体で、現在、公共栄養士の育成に力をいれています。ただ、日本の栄養士制度とは異なり、公共栄養士には3か月ほどの育成期間を経て学校等に配属されます。

当日の参加者約300人の期待度と反応は想像以上のものでした。中国にこれから間違いなく訪れる少子高齢化社会に備え、まさに『食育の実践、学校給食と食育』に対する関心が高まっており、参加者の熱意は並々ならぬものがありました。

11月2日㈯ 2019成都国際食育及び健康科学サミット

2013年から交流のある中国疾病予防管理センター(CDC)の幹部である胡先生と田中代表

講演の後は、表彰式典となり、栄養普及活動の推進に貢献した公共栄養士が次々と表彰され、拍手喝采を浴びていました。

11月3日(日)大会の主催機関、成都市栄養学会を訪問。

食育担当の責任者である馬先生の研究発表を聴講しました。山間部の小学校を取り上げ、塩蔵品に頼る食生活のため塩分の取りすぎ等の状況や、その結果、子どもたちの発育にどのような影響を及ぼすかが写真で紹介されました。広い中国では、地域によって異なる食文化や食料事情があるため、画一的な方法での食育では難しいと感じた内容でした。

午前、田中代表と熊本県尚絅大学生活科学部教授の守田先生が小学生向けの食育授業のデモンストレーションをしました。参加者の皆様に小学生になって頂き、実際に授業を体感して頂きました。

中国では指導者が教材を作る習慣が無いため、参加者は、初めての体験に驚きつつも、高い関心をよせていました。

 

中国全土から集まった栄養促進事業を担う担当者達のその意欲の高さと熱意に驚きました。

 

11月4日(月)浦江西南小学校の給食現場視察

CDCの『胡先生』のご尽力で、食育モデル校に指定されている浦江西南小学校への給食現場視察をしました。成都栄養学会がバスをチャーターし、先の学会で表彰されていた栄養関係者達25人程で小学校に向かいました。

中国の複雑な事情か、給食現場をすんなりとは視察させてもらえず、小学校に到着してからもやり取りは続きました。胡先生の粘り強い交渉の結果、給食時間に児童の様子を視察学出来ることとなりました。

中国において特に四川省成都は栄養指導の普及に力を入れており、その結果を出して全国のモデル地区となり、栄養学普及の役割を担う重要な地区。見学に訪れた小学校は田中代表の意向で成都のなかでも貧しい地区にあり、公共栄養士が配属されたモデル校でした。

 

学校敷地内の壁には、食育の様子が描かれており、日々児童の目に触れやすい環境を作っていました。特産のサクランボ畑も校内にあり、食育をしている事をアピールしていました。

昼になり案内された場所は、200人程が収容できる食堂で、隣には調理場が併設されていました。

直径20センチ程のステンレスのボールにご飯を盛り、キャベツと木耳と唐辛子、肉の炒め物の主菜をのせてスープをかけて食べる献立でした。

 

教師が初めに盛り付けをし、おかわりは自由。食事時間は20分程で、食べ終わった児童から順次、自分で食器を洗います。大きなタライに張った水の中で一時洗いをして、その後流水で洗い流します。食器はその後は再洗浄されるそうです。

教室で給食をとっているクラスもありますが、担任教諭が、児童に食育の指導している様子はありませんでした。また肥満傾向児は見られませんでした。

 

 

無事小学校視察を終えた集合写真

中国の学校給食は比較的裕福な北京や上海においては、地域の裁量によって実施されています。低所得、農村部には政府が一人4元(約64円)の補助金を出していますが、他に流用され子どもの食費に使われていない課題もあるようです。

今回5年振りに中国を訪問し、栄養や食育に関する意識が著しく向上していることを強く感じました。これからも諸外国の学校給食と食育を支援していきたいと思います。

 

2020年のSARAYA手帳ができました!

当社がプロデュースした、2020年のSARAYA手帳を是非ご活用願います。

この手帳のコンセプトである四つ葉のクローバーをモチーフにデザインしました。

四つ葉のクローバーに込められた願いは、「信頼」「愛情」「勇気」「希望」です。

令和の時代を担う子どもたちには、健康で、幸せで、生き生きキラキラ輝いてほしいと心から願っています。その子どもたちの健康作りのキーパーソンである、栄養教諭・学校栄養職員、学校給食関係者の皆様の毎日が「幸福」に満ち溢れたものになりますように!
そんな願いを込めて、この手帳を作りました。

また、この手帳には、月間カレンダー、スケジュール帳に加え、学校給食関係者にとって他からは得られない情報※、及びサラヤ株式会社の学校給食関連製品の情報が掲載されています。本年も引き続き、いつも傍らに置いて日々の業務に役立てていただければ、幸いです。

 ※1.学校給食摂取基準活用の留意点

  2.学校給食摂取基準等の推移

  3.栄養教諭・学校栄養職員の歴史

  4.食中毒発生状況

  5.学校給食実施状況等

  6.関係法令
制作    サラヤ株式会社 東京サラヤ株式会社
企画&監修 田中 延子(株式会社オフィス田中 代表取締役)
デザイン  藁品 マミ(株式会社オフィス田中)
編集    学校食事研究会

「2019年度 食の安心学習会」にて講演

2019年9月27日(金)「2019年度 食の安心学習会」が富山市にて開催されました。

この学習会を主催する食の安心研究所は、富山県内生産者の品質向上の支援と地産地消の促進を目的に2006年6月の設立以来、県内取引先への品質管理向上の支援や、生協組合員を中心とした食に関する知識の向上に取り組んでいます。

その一環として県民、組合員を対象とした学習会を毎年開催しており、今年度は当社代表の田中が『食中毒にかからないためのポイント!~なぜ?を追求する~』について講演しました。

★2019.9・27学習会チラシ

【日  時】 2019年9月27日(金) 10:00~12:00

【会  場】 ボルファートとやま

【主  催】 食の安心研究所

【共  催】 富山県生活協同組合、富山県生協虹の会

2019年9月17日の北日新聞の広告

■ 参加者のご意見・ご感想

●専門的な内容を具体的に説明していただいたので、納得がいくことばかりでした。

●食中毒にかからないための「なぜ」が解決できました。

●台所の排水口、スポンジの衛生的管理、冬季のノロウイルスは感染力が強いので手洗い・食品の加熱をすることなど、とても解りやすく、参加して良かったです。

●血液型によってノロウイルスの感染の有無があるというのでビックリしました。

●自分の感覚で調理をしていたので、もっと気を配ることが必要だと思いました。

 

フィリピンのNPOセブンスピリットを訪ねて

フィリピンには東南アジア最大のゴミの山(スモーキーマウンテン)があり、そこで生活するスカベンジャー(ゴミの中から廃品回収を行い僅かな日銭を稼ぐ貧民)がいます。

皆様の中でも何度かTV等で見聞きされた方もいらっしゃるかと思います。その中でもリゾートのイメージが強いセブ島にて、ある日本のNPOの取り組みがNHKにて幾度か放送されました。

NPO法人《セブンスピリット》http://seven-spirit.or.jp/です。

我がNPOの取組とおおいに共通する部分、ライフスキル教育※への取り組みとその成果を実感したく、その活動を実際に尋ねてきました。

※ライフスキルとは?…「日常で生じるさまざまな問題や要求に対して、建設的かつ効果的に対処するために必要な能力」と定義されます。(WHO 世界保健機関による)

セブンスピリットでは、子ども達が自分らしさを見つけて、描いた夢や希望の実現に向けて、建設的にチャレンジし続けられ、子ども達が「自分自身を」を生きていることを理解し、豊かな表現力で伝え合い、生産的なコミュニティ形成の実現のために、お互いの役割を見つけ果たし合っていける環境作りを推進。 これらのスキルを身につける為に効果的である、音楽活動とスポーツ活動を子ども達に実施しています。(セブンスピリットホームページより抜粋)

尋ねたのは、Cebuの中心にほど近いHeritage Of Cebu Foundation の目の前セブンイレブンの二階に事務所兼演奏練習所。この地区は旧市街地に当たる地区で、貧富の差がある家庭の子どもたちが一緒に演奏に取り組んでいました。小学校に通えない子ども達には家庭訪問する等し、地道な活動の結果、音楽教室に通い始めた児童生徒は100%学校に通うことができているとのことでした。

ごみの山近くの活動では、子ども達に食事の提供もしており、貧しい子ども達が持て余した時間を悪しきことに使う伝播をとめるため、 集まってスポーツや音楽をできるよう活動の輪を広げています。

事務局長の永田さんはトロンボーン奏者で音楽の力を信じるハートフルな方。親切に子ども達の様子や、会のご案内頂き、最後はアニメ「となりのトトロ」の演奏をプレゼントしていただきました。ぜひこれからもこの活動に長く関わり続け、子どもたちの成長を一緒に見守っていきたいとおっしゃっていました。

食を通して、子ども達の自立をめざす、我々の活動と相通ずるものを強く感じました。

文部科学省 学校給食に関する指導の手引 ―第二次改訂版―(平成31年3月)が公表されました。

文部科学省では学習指導要領の改訂と、子どもを取り巻く社会状況の変化に対応し、学校における食育の一層の推進を図るため「食に関する指導の手引き」を改訂しました。
以下のURLよりご覧ください。
【文部科学省HP 2019/04
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/1292952.htm
 

平成30年度地産地消等優良活動表彰近畿農政局長賞授与式及び「地産地消等推進フォーラム」にて、基調講演

平成31年2月15日(金)メルパルク京都において上記が開催され、当社の田中代表が「学校給食における地場産物の活用について」基調講演を行いました。

 

以下、近畿農政局「平成30年度地産地消等優良活動表彰近畿農政局長賞授与式及び「地産地消等推進フォーラム」概要」より引用

平成30年度地産地消等優良活動表彰近畿農政局長賞授与式及び「地産地消等推進フォーラム」概要

 

近畿農政局は、平成31年2月15日(金曜日)、メルパルク京都において、「地産地消等推進フォーラム」を開催しました。 本フォーラムでは、平成30年度地産地消等優良活動表彰の近畿農政局長賞授与式の後、基調講演、受賞団体及び農林水産大臣賞の事例発表を行い、管内の農業関係者、食品事業者、行政関係者の方など約90名の方々にご参加いただきました。

以下にフォーラムの概要をご紹介します。

平成30年度地産地消等優良活動近畿農政局長賞授与式

基調講演
「学校給食における地場産物の活用について」
京都府立大学 京都和食文化研究センター 客員教授 田中 延子 氏

事例発表
・  せせらぎの郷    代表 堀  彰男 氏
・  有限会社こやま園    代表取締役社長 小山 伸洋 氏
・  株式会社プラス       代表取締役社長 野田 正史 氏
・  REICAFE(レイカフェ)  オーナーシェフ 木村 貴行 氏
・  加東市学校給食センター    栄養教諭  浅田 恵美 氏
・  社会福祉法人志心福祉会はなぶさ保育園    理事長 谷口 久仁子 氏

特別講演
「世界にはばたく青森の黒にんにく」
協同組合青森県黒にんにく協会 代表理事 柏崎 進一 氏

平成30年度地産地消等優良活動表彰 近畿農政局長賞授与式

近畿農政局長賞

農林水産省では、全国各地でそれぞれの立地条件を活かした、創意工夫のある様々な地産地消の取組及び国産農林水産物・食品の消費拡大を推進する取組を募集し、その成果や持続性、地域への寄与等について優れた取組を表彰しています。
近畿管内において平成30年度に地産地消活動を行う優良な活動団体に対して、近畿農政局長賞を授与しました。
☆地産地消等優良活動表彰近畿農政局長賞

・  せせらぎの郷    代表 堀  彰男 氏
・  有限会社こやま園    代表取締役社長 小山 伸洋 氏
・  株式会社プラス       代表取締役社長 野田 正史 氏
・  REICAFE(レイカフェ)  オーナーシェフ 木村 貴行 氏
・  加東市学校給食センター    栄養教諭  浅田 恵美 氏
・  社会福祉法人志心福祉会はなぶさ保育園    理事長 谷口 久仁子 氏

       地産地消等優良活動表彰近畿農政局長賞受賞者

 

基調講演

   京都府立大学 京都和食文化研究センター 客員教授 田中 延子 氏

「学校給食における地場産物の活用について」

学校給食における地場農産物の活用について、制度的なことと具体的な実践方法についてお話していきたい。

平成20年3月に告示された学習指導要領の総則に初めて「食育の推進」が載せられ、学校の教育活動全体で行うことが明記された。

また、学習指導要領の解説では、体育や家庭科、特別活動(学校給食)などと関連させながら、学校教育活動全体で食育に取り組むことが大切であるとされている。食育を進めるにあたっては、栄養教諭の専門性を生かし、先生方と連携をしながら地域の産物を学校給食に使用するなど、色々な工夫をして取り組むことが重要だとされている。

学校給食法においても、栄養教諭の行う食に関する指導は児童生徒が健全な食生活を営むことが出来る知識及び態度を養うために、地域の産物を学校給食に活用するなどして、地域の食文化、食に係る産業又は自然環境の恵沢に対する児童生徒の理解を図るよう努めることとされている。

 

学校給食に地場産物を活用する目的は、「地域の自然、食文化、産業についての理解を深める」「食料の生産・流通に携わる人々の努力、苦労を理解し、感謝の心をもつ」「流通に要する経費等についての関心を高めて環境保護に貢献する態度を培う」「日本や世界をとりまく、食料に関する知識・理解を高める」などで、地域の理解だけではなく、もっと広く世界をとりまく食料事情についても関心を寄せる心を育み教育に生かすことが大切である。

そして学校給食に地場産物を活用することによって、生産者の生産意欲の向上や学校給食に対する理解、地域経済の活性化につなげることもできる。

次に地場産物の活用推進方法について、私の実践を通してと、活用の手順をお話ししていきたい。
私は30年ほど前、北海道の十勝、帯広市で、学校栄養職員として勤務しており、地場産物の活用に取り組んだ。地場産物を活用するに当たっては、推進組織を設置することが重要と考えている。

手順としては、行政や学校、生産者団体、有識者、保護者などで推進組織を設置し、現状把握、活用率の目標設定、地場産物の調達方法、献立や加工食品のための研究開発など活用方法を検討する。次に食育だよりや、イベントを行って市民へ啓発する。

文部科学省は一昨年、「栄養教諭を中核としたこれからの学校の食育」という冊子を作成し、食育を行う際は、計画をたてて、実践し、そして評価して改善するという、PDCAサイクルをしっかりと回していくことを指導している。

私の実践では、教育委員会がトップになり、農政部局、学校関係者、食材を納入する農協、給食センターなどで推進組織を作り、目的や情報を共有した。役割分担を明確にして、計画を作り、実施して、評価して、評価が悪かったら計画に戻って修正してPDCAサイクルを回しながら推進していった。

現状把握、目標の設定では、例えば、子供たちが地場産物を知らないのなら、児童生徒、市民の地場産物に対する理解を促して愛用してもらうことを目標として、現在の活用率、食材数ベース26%を40%に、重量ベース50%を70%に上げていくことを目標にする。

私の場合、取組の目的としては、農産物輸入自由化への対策、低農薬・有機栽培農産物の推進と生産者の育成、地場産物への児童生徒・市民への理解、地場産物の愛用促進、眠っている郷土料理の発掘などであった。農政部では、郷土料理のレシピと共に指導者を派遣する「帯広の味銀行」を作った。

予算措置や生産者の育成などは農政部が担当しJAがコーディネートした。有機栽培、低農薬栽培を行うと、最初、収量が落ち、生産物が一定のサイズにならない。そこで5年間くらいは収量減に対する価格保障をするとともに、ふぞろいな野菜でも学校給食センターで全量引き受け、市価と比較してマイナスになる部分を農政部が補填した。5年たって収量も安定し、普通の業者と同じレベルで納入できるようになったら自立してもらい、次の新しい生産者を育成することとした。

市民に周知したり、生産者の意識を高めたりするために、ふるさと給食週間、収穫体験学習と交流給食、学校給食週間時に姉妹都市の産物を用いた給食など、食育に関するイベントを実施し、マスコミに広く広報した。

ふるさと給食週間は11月に毎年実施し、一週間を通じ、北海道全体の産物のみを用いた給食を実施した。いくら丼、十勝牛のステーキ、ちゃんちゃん焼き、かにを使った鉄砲汁、ポテトグラタン等というようなメニューを提供した。食材のことや献立の由来に関する教師用の指導資料を作り、学級担任すべてに配った。市長と児童の交流給食を実施し、広く報道してもらうとともに、給食センターで市民の試食会も行い、給食に対する理解を図った。

収穫体験学習では、アスパラ取りやごぼう堀り体験をし、それらを給食に使用し、生産者との交流給食をした。ゴボウは生産者の方が少し抜きやすくしておくなど、手間のかかることではあったが、協力していただいた。また、バス代は農政部が措置した。

学校給食週間には、大分市、徳島市、静岡の松崎町などの姉妹都市の産物を用いた給食を実施し、地域の農産物を知るだけでなく、遠く離れた姉妹都市の産物を知り比較することで子供たちの中によりインプットさせることとした。北海道では竹が珍しいので、徳島市の竹ちくわを食べたあと、竹を笛にしたり工作に使ったり、子どもたちが楽しめるよう企画した。

子供たちへの食育の集大成として、バイキング給食を実施した。黄、赤、緑の食品、汁物、デザートの中から決められた数を取るというルールで、たとえば緑の食品で、ほうれん草のごま和え、きんぴらごぼうがあったら、どちらか1品選択するように、好き嫌いで選べないシステムにしていた。また、後で取る人のことを考えてきれいに取る。おかわりをする時、友だちのことを考えて一度に何個も取らないという、思いやりの気持ちの醸成もバイキング給食の狙いとした。

地場産物を活用した親子料理教室も行った。自分の体を自分自身の力で養っていける能力を身につけさせることは、学習指導要領がめざす生きる力につながる究極の食育だと考える。料理を作ることを覚えると、食事の重要性とか、作ってくれる人たちへの感謝の気持ち、社会性、ともに食べることの楽しさ、心身の健康、食文化、食品を選ぶ力、そして、思いやりの気持ちが育つ。

食育の評価について、文部科学省が作成した「栄養教諭を中核としたこれからの学校の食育」においては、活動指標と成果指標の両方を評価することを求めている。地場産物活用の評価として、活動指標では、たとえば献立を活用して食文化や食品の産地等を計画的に指導できたか、家庭や地域、生産者等と連携して給食を提供出来たか、計画的に地場産物の活用が出来たかというようなことを5段階評価する。成果指標としては子供たちがどう変容していったか、給食を残さず食べた児童の割合、地場産物に関心があると回答した児童の割合、保護者の変容ならば、地場産物・国産食材の使用割合、地場産物を意図的に使用する割合等で評価してはどうか。

文部科学省が実施している「社会的課題に対応するための学校給食の活用事業」の愛媛県の報告では、その町の食材を知らない子供たちが、29年に19%いたのが30年に6%に減り、地産地消の推進を知らない人たちが取組を進める前に28%だったのが8%に減っている。青森県田子町では児童の変容として、副菜の残食率がある。食育が進むと子供たちは感謝して食べるようになったり、栄養のバランスを考えて食べるようになったりするので、27年度とくらべて29年度は残食率が減っている。保護者の変容では、食事に地元産の食材を使用すること、伝統的な食文化や行事食を学ぶというのが増えている。このように評価をしていきたい。

地場産物を使用した学校給食を活用して、教育(食育)に生かすことが、重要なのであって、ただ単に食べさせれば良いと言うものではない。産物がこの地域で生産されている背景を学び、児童生徒が生産体験をすることによって生産者の思いや苦労を学び、感謝の心を育む。社会科や家庭科、総合的な学習の時間を通して食文化を学び、食品を選択する能力を身につける。

私は、「郷土を愛する気持ち」を育むことが「地場産物を使用した学校給食を活用した食育」のゴールだと思っている。私の住んでいる地域にはこんな素敵な食品があって、それはこのような気候風土があったから、私たちの先祖がこんな食品をもってきてくれたから、私はこんな素敵な美味しい物が採れるところに住んでいて幸せだというように感じてほしい。郷土を愛する気持ちがあれば、次に県を愛する気持ちになり、もっと拡大すると日本を愛する気持ちになる。そしてもっともっと拡大すれば地球規模で愛することができる人になる。そういうことが、地場産物を活用した食育の目指すものではないかと考える。

そして、自分の地域以外で作られているものを危険と思うのではなく、地域外にも安全なものもあることを理解した上で地域の物を愛して食べる人に育って欲しいと考えている。

 

学校給食栄養管理者セミナーが開催されました

主催:ジャパンライム株式会社
企画:株式会社オフィス田中

  本セミナーは2018.9月17日に第一回目を行いましたが、好評につき第二回目を2019.1月    26日に開催いたしました。

《1》セミナーの内容

【第一部】講師  当社代表 田中延子
『学校給食実施基準の改正点について』
『食品構成表の作成』

       

【第二部】講師  当社衛生管理アドバイザー佐藤史郎
『HACCPの義務化に伴う食品衛生法改正について』
『HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の運用方法について』

《2》参加者のアンケート

 大変よくわかった、気づきがあったとのご感想を多く頂きました。
 以下に主だった感想をご紹介いたします。

【1】「学校給食実施基準の改正点について」
・塩分に関してはそこまで躍起になることはないと安心した。
・文書のみでは分からなかった疑問が解決し、とてもスッキリした。
・エネルギー算出方法に迷いがあったが、先生の解説で内容や注意する点がよく理解できた。
・実施基準をしっかり読みこんで、子どもたちの栄養管理に生かしていきたい。

【2】「食品構成表の作成」
・示されたものがなくどうすべきかと思案していた。目標はH31~に使用できるよう頑張りた  い。
・給食費の算定に食品構成表を用いることを教えていただき、基準を持つことはとても大切だ  と思った。

 

【3】「HACCPの義務化に伴う食品衛生法改正について」
        「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の運用方法について」     
・HACCPの名前は知っているが、現場で浸透しない理由が理解できた。既に行っていること     がHACCPと同じと分かった。
・学校給食の衛生管理基準とHACCPの考え方を比較すると、給食の基準は細かく厳しく行っ     ていると再認識できた。

 

     これからも、栄養教諭や学校栄養職員のスキルアップに繋がるような講習会を計画してい       きたいと思いますので、是非ご参加下さい。

研修会 in 奄美大島

クリスマス(12月25日)に奄美大島で講演をしました。

奄美大島の栄養教諭等、11名には「学校給食実施基準の改定について」を演習を交えて解説しました。調理員約100名には「学校給食の衛生管理ついて」お話しました。

青い空、青い海、南国にしかない植物、心優しい学校給食関係者の皆様に接し、素敵な時間を過ごしました。一年間の締めくくりに相応しい研修会になりました。

北海道函館市立亀田中学校の学校給食において、154名がブドウ球菌(疑い)による食中毒を発症!!

2学期の給食が終わりに近づき、ホッとした頃に、学校給食による食中毒が発生しました。

 

函館市教育委員会の発表によると、12月18日(火)17時過ぎに、亀田中学校の生徒及び教員10名が、嘔吐などの症状により、病院に搬送されました。また、亀田中学校の子学校である港中学校においても同様の症状を呈する生徒が見られました。

 

有症者数等(12月25日現在)

生徒:790名、喫食者752名、有症者154名、通院者94名、入院者14名(全員1泊)

教員:有症者2名

 

函館市立箱館保健所の調査結果は次の通りです。

1 原因施設:亀田中学校親子学校給食共同調理場

2 原因食品:12月18日(火)に提供された学校給食※

3 病因物質:黄色ブドウ球菌(推定)

4 感染経路:不明

※12月18日の献立:コッペパン、五目すいとん、インゲン豆コロッケ、みかん、牛乳

 

学校給食において、細菌性食中毒の発生は激減しており、黄色ブドウ球菌による食中毒は、平成14年度以降、発生していません。

また、情報によると、本調理場では、当日調理、十分な加熱(毒素型とは言え)、使い捨て手袋の使用が徹底されていたということです。そのような中で、発生したブドウ球菌による食中毒ですから、専門家の中でも、首を傾げる方々が少なからずいます。是非、原因不明で終わらせず、原因究明をしっかりしていただきたい事件です。

 

(田中延子)