2019年11月2日に、中国四川省成都にて上記学会が開催され、当社代表の田中が招聘され“学校給食が食育に果たす役割”について講演しました。
大会を主催した成都栄養学会は、中国政府の栄養に関する政策の推進役として発足した団体で、現在、公共栄養士の育成に力をいれています。ただ、日本の栄養士制度とは異なり、公共栄養士には3か月ほどの育成期間を経て学校等に配属されます。
当日の参加者約300人の期待度と反応は想像以上のものでした。中国にこれから間違いなく訪れる少子高齢化社会に備え、まさに『食育の実践、学校給食と食育』に対する関心が高まっており、参加者の熱意は並々ならぬものがありました。
11月2日㈯ 2019成都国際食育及び健康科学サミット
講演の後は、表彰式典となり、栄養普及活動の推進に貢献した公共栄養士が次々と表彰され、拍手喝采を浴びていました。
11月3日(日)大会の主催機関、成都市栄養学会を訪問。
食育担当の責任者である馬先生の研究発表を聴講しました。山間部の小学校を取り上げ、塩蔵品に頼る食生活のため塩分の取りすぎ等の状況や、その結果、子どもたちの発育にどのような影響を及ぼすかが写真で紹介されました。広い中国では、地域によって異なる食文化や食料事情があるため、画一的な方法での食育では難しいと感じた内容でした。
午前、田中代表と熊本県尚絅大学生活科学部教授の守田先生が小学生向けの食育授業のデモンストレーションをしました。参加者の皆様に小学生になって頂き、実際に授業を体感して頂きました。
中国では指導者が教材を作る習慣が無いため、参加者は、初めての体験に驚きつつも、高い関心をよせていました。
中国全土から集まった栄養促進事業を担う担当者達のその意欲の高さと熱意に驚きました。
11月4日(月)浦江西南小学校の給食現場視察
CDCの『胡先生』のご尽力で、食育モデル校に指定されている浦江西南小学校への給食現場視察をしました。成都栄養学会がバスをチャーターし、先の学会で表彰されていた栄養関係者達25人程で小学校に向かいました。
中国の複雑な事情か、給食現場をすんなりとは視察させてもらえず、小学校に到着してからもやり取りは続きました。胡先生の粘り強い交渉の結果、給食時間に児童の様子を視察学出来ることとなりました。
中国において特に四川省成都は栄養指導の普及に力を入れており、その結果を出して全国のモデル地区となり、栄養学普及の役割を担う重要な地区。見学に訪れた小学校は田中代表の意向で成都のなかでも貧しい地区にあり、公共栄養士が配属されたモデル校でした。
学校敷地内の壁には、食育の様子が描かれており、日々児童の目に触れやすい環境を作っていました。特産のサクランボ畑も校内にあり、食育をしている事をアピールしていました。
昼になり案内された場所は、200人程が収容できる食堂で、隣には調理場が併設されていました。
直径20センチ程のステンレスのボールにご飯を盛り、キャベツと木耳と唐辛子、肉の炒め物の主菜をのせてスープをかけて食べる献立でした。
教師が初めに盛り付けをし、おかわりは自由。食事時間は20分程で、食べ終わった児童から順次、自分で食器を洗います。大きなタライに張った水の中で一時洗いをして、その後流水で洗い流します。食器はその後は再洗浄されるそうです。
教室で給食をとっているクラスもありますが、担任教諭が、児童に食育の指導している様子はありませんでした。また肥満傾向児は見られませんでした。
中国の学校給食は比較的裕福な北京や上海においては、地域の裁量によって実施されています。低所得、農村部には政府が一人4元(約64円)の補助金を出していますが、他に流用され子どもの食費に使われていない課題もあるようです。
今回5年振りに中国を訪問し、栄養や食育に関する意識が著しく向上していることを強く感じました。これからも諸外国の学校給食と食育を支援していきたいと思います。